スタートアップ向けイベント最新情報!キャッチアップしておきたいオンライン化の流れ
資金調達から人脈獲得まで、起業家ならぜひ参加したいスタートアップ向けイベント5つ
2020年は、世界中が新型コロナウイルスに苦しめられた年となりました。創業・起業のステージにいる経営者の中にも、影響を受けた方がいるのではないでしょうか。
外出やイベントの自粛が広まりリモートワークを採用する企業が増える中、スタートアップ業界もコロナ禍を乗り越えて活動を続けています。
スタートアップや創業者・起業家を対象とするイベントも、オンライン開催で続けられています。そんなイベントの中から創業手帳おすすめ5選をご紹介します。
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この記事の目次
コロナ禍で起業家向けイベントはどうなっている?
自治体による各種イベントの自粛要請を受けて、スタートアップや起業家を対象とするイベントもオンライン開催に移行するところが増えています。
今年の始めにまとめたスタートアップ向けイベントに関するこちらの記事でピックアップしたイベントの2020年の開催状況は以下のとおりです。
- ICCサミット KYOTO 2020:8月31~9月3日 リアルイベントとして開催
- TechCrunch TOKYO:ピッチコンテストのみを12月14日~18日にオンライン開催
- INFINITY VENTURE SUMMIT 2020:7月30日~31日 オンラインイベントとして開催
- Tech in ASIA JAPAN:2019年3月31日で日本法人業務終了
- STARTUP WORLD CUP:2020年9月本国開催のグランドファイナルは中止、選出企業は2021年に繰延参加
- Morning Pitch:2月26日より全面オンライン化
- 創業手帳セミナー・イベント:5月よりほとんどのイベントをオンライン化
ICCサミットのみリアルで開催され、コロナ対策を徹底したことと感染者が出なかったことを公式にアナウンスしています。
東京開催の他のイベントはほとんどがオンライン開催に移行しているのが実態です。
スタートアップ向けイベントの探し方 どんな視点で探すべきか?
一般的にスタートアップ向けイベントは、投資家にとっては投資先となるスタートアップを見つけるため、スタートアップにとっては資金を提供してくれるスポンサーを探す、パートナーシップを得る、スタートアップ企業のPRや顧客獲得など目的で開催されます。
著名な起業家の講演や彼らを交えたカンファレンス、自分のビジネスの価値をアピールするピッチコンテスト、参加者同士の交流などが、メジャーなスタートアップ向けイベントのイメージです。
国内に目を向けると、急成長を求めるスタートアップを対象としたもの以外にも、大手企業がスポンサーとなって自社のビジネスとスタートアップの協業を目的とするものや、国と自治体が地方創生に向けた取り組みの一貫として開催するもの、業種・業界が中心となって開かれるものなど、規模の大小から内容に至るまでさまざまなイベントがあります。
ポイント1 開催主体の違い
国内のスタートアップ業界で存在感を高めているのが、投資家と起業家の橋渡しとなり、スタートアップを支援する「アクセラレータ」と呼ばれる企業や組織体です。大手コンサルティングファームが、同様の立ち位置でスタートアップ向けイベントを開催するケースもあります。
他には、東京ガスや富士通といった大手事業会社が新規事業開発のためにスタートアップを取り込む動きが目立つようになりました。そのためのイベントとしてピッチコンテストを開催するといったことも、近年のスタートアップ業界の流れのひとつです。
ポイント2 開催目的の違い
国や自治体が主導し、創業支援を目的に開催されるものもスタートアップ向けイベントといえるでしょう。海外の有名なスタートアップイベントのような華々しさはありませんが、比較的小規模な起業・創業に対し、ビジネスプランの選考による補助金の支給や公庫などからの資金調達機会の提供、創業経営者のためのセミナーなどが行われています。
代表的なイベント形態
スタートアップ向けイベントと呼ばれるものでも、その目的によってイベントの中味はさまざまです。代表的なスタートアップ向けイベントのコンテンツには、どんなものがあるのでしょうか。
ピッチコンテスト
ピッチコンテストは、スタートアップ向けイベントのメインといえます。投資家からの出資を獲得するために、ビジネスのアイディアやプランの将来的な価値アピールする場です。
時間制限が設けられ、短時間で投資家からの納得と信頼、共感を得るプレゼンテーションが求められます。Zoomなどのテレビ会議システムを使った開催が主流になっている現在では、オンライン上での効果的なプレゼンを意識することも必要です。
イベントの主催者や目的によって、創業からの年数や求める資金規模といった条件が設けられることがほとんどです。応募から選考を経て登壇する権利を勝ち取り、ファイナリストたちがビジネスの将来性や実現可能性、リターンの大きさなどを競い合います。
講演、カンファレンス
成功したベンチャー経営者やスタートアップ業界の著名人による講演、テーマを定めたカンファレンスなど、イベントに華を添えるコンテンツです。招かれる人物は、イベントの格やスタートアップ業界での位置づけを判断する材料になります。
交流会・パーティー
ピッチコンテストの表彰式の後などに、スタートアップに関わるさまざまな関係者の交流を目的とするパーティーが開かれます。
ピッチコンテストというプログラムの枠を超え、起業家と投資家だけでなくスタートアップに注目する会社の事業開発担当者などを交えて、情報交換や人脈作りなどが行われる重要な場です。
ピッチコンテストで入賞や資金調達が叶わなかったとしても、ここで新たな提携先や協業先が見つかることもあるので、積極的に活用すべきネットワーキングの機会といえます。
見本市・展示会
国内では数少ない、スタートアップのプロダクトを対象とする見本市・展示会です。
具体性が求められる技術系のスタートアップの参加が多く、プロダクトそのものがPRや顧客獲得につながります。
イベント自粛の流れの中で、さまざまな工夫を凝らしたオンライン展示会が増えています。
勉強会・セミナー
「スタートアップ向け」からは外れますが、広く創業者・起業家を対象に啓蒙的な要素も含めて、知識や情報を提供する各種イベントが行われています。民間から自治体・行政が主催するものまで、規模や内容はさまざまです。
扱われるテーマも開催主体ごとに大きく異なるため、テーマや講師についてよく調べておくとよいでしょう。
創業手帳でもセミナーや勉強会を中心に、創業者の課題解決に直結する実践的なセミナーを数多く開催しています。
注目のスタートアップ向けイベント5選
コロナウイルスの感染拡大によって、SlushやSTARTUP WORLD CUPといった世界的なスタートアップ向けイベントの開催が見送られました。
国内では、これまで定期的に行われてきたイベントがオンライン開催に変更されるケースがほとんどです。そのような状況を踏まえて、チェックしておきたい注目のスタートアップ向けイベントを紹介します。
「TechCrunch Disrupt 2020」
特徴・内容
起業家であるマイケル・アーリントン氏が立ち上げた、シリコンバレー界隈の情報発信ブログに端を発するTechCrunch。大手メディア資本に取り込まれた現在でもベンチャー関連の情報が満載の、IT業界・スタートアップ業界の老舗メディアです。
TechCrunchが主催するスタートアップ向けイベントは、アメリカ本国では、サンフランシスコにおいてTechCrunch40(後のTechCrunch50)という名称で2007年から開催されてきました。
世界的なコロナ禍を受け、本国ではオンラインのバーチャルイベントとしてTechCrunch Disrupt 2020が9月14日~18日(米国時間)の5日間にわたって行われました。
日本においても、2011年からTechCrunch Tokyoでスタートアップのデモンストレーションやコンテストが行われています。
本年(2020年)開催されるTechCrunch Tokyoでは、従来のイベントコンテンツの中でピッチコンテストのみが単独で行われる予定です。TechCrunch Startup Battle Online 2020として、Disrupt同様にオンライン形式で12月14日~18日に開催されます。
コンテストの募集と書類審査はすでに終了しており、20社のスタートアップ企業がファイナリストに選ばれています。
どんなスタートアップに向いているか
Disrupt、Startup Battle Onlineともに、世界市場を見据えた事業展開を目指すスタートアップの聖地といっても過言ではないでしょう。
9月に行われたDisruptのピッチコンテストにおけるスタートアップ企業の事業内容を見ると、アフリカでの交通機関やインドでの節水型垂直農業といったワールドワイドなビジネスがファイナリストに選ばれています。
日本で予定されるStartup Battle Onlineでは、「設立3年以上、正式ローンチが1年未満のプロダクトやサービスを持つスタートアップ企業」という条件が設けられています。
ファイナリスト企業の略歴を見ると、この段階で他のスタートアップ向けプログラムへの選出・採択、スタートアップ・起業関連コンテストでの受賞歴、メディアで取り上げられるなど、スタートアップ業界で頭角を現している企業がほとんどです。
「Monthly Pitch」
特徴・内容
楽天やDeNAと並び、国内IT企業として不動の地位を確立したサイバーエージェント。その子会社であるサイバーエージェントキャピタルが主催する、シード・アーリー期のスタートアップを対象とするピッチイベントです。スタートアップが資金調達をするための、投資家とのマッチングの場として機能しています。
2016年から行われており、2020年7月の第39回で登壇したスタートアップ企業が300社を超えました。イベント自粛の流れを受け、第37回からはオンライン開催に切り替わっています。
「Monthly」の名のとおり毎月第2水曜日に開催され、参加を希望するスタートアップはオンラインで応募、1次書類選考から2次選考(オンライン面談可)を経て、ピッチ登壇の権利を得ます。
VC(ベンチャーキャピタル)やエンジェル投資家などがピッチを視聴するだけでなく、双方のネットワーキングセッションが設けられるなど、リアル開催に劣らない内容になっています。
どんなスタートアップに向いているか
応募条件は以下のとおりです。
●IT・インターネット関連のベンチャー企業であること
●500万円~1億円程度のシードからアーリーステージの資金調達を検討していること
●一次選考、二次選考への参加
●複数回の応募及び登壇が可能
IT・インターネット関連という条件がついていますが、登壇するスタートアップ企業の事業内容は医療分野から小売業までと多岐にわたります。
課題解決のためにITを活用している点は共通しており、スモールビジネスから発展する可能性を秘めた、さまざまなスタートアップに門戸が開かれています。
「VENTURE CAFE TOKYO」
特徴・内容
米国におけるイノベーションの拠点としてシリコンバレーと肩を並べるのが、MIT(マサチューセッツ工科大学)のあるボストンです。
ここで20年前に創設されたイノベーション創出機構CIC(ケンブリッジイノベーションセンター)が展開するアジア初の拠点がVENTURE CAFE TOKYO。2018年に一般社団法人として立ち上げられ、東京以外にも名古屋市とつくば市にサブ拠点が設けられています。
毎週木曜日にCIC東京オフィスのある港区虎ノ門ヒルズで開催されるイベントThursday Gatheringがメインとなるプログラムです。当初は20~30名規模でしたが、150~200名のイベントに成長しています。
起業家のほか、投資家、大学教員、政策担当者、事業会社新規事業担当者といったイノベーションを志す幅広い層が参加し、トークセッションやネットワーキング、ワークショップなどが行われます。
Office Hourという名称で、起業プランを相談できるメンタリングも受け付けています。イベントへの参加には登録が必要ですが、多くのプログラムが無償で提供されます。
他のイベントと同様にオンラインイベントに移行しており、オンライン会議システムのZoomとRimoを使って活発なコミュニケーションが行われています。
どんなスタートアップに向いているか
スタートアップと投資家だけでなく、大企業や政府、研究機関といったイノベーションを起こすためのエコシステムに関わるすべてを巻き込み、つなげていくことを目指すのがVENTURE CAFE TOKYOです。
自由でオープンな雰囲気で行われるセミナー形式のワークショップやメンタリングは、シード期や起業前でも参加できます。リターンに直結するビジネスプランが求められるスタートアップ向けイベントというよりは、イノベーションというキーワードで未来を語れる起業家にフィットするイベントといえるでしょう。
「ET & IoT Technology」
特徴・内容
JASA(一般社団法人組込みシステム技術協会)という業界団体が開催する展示会イベント。毎年テーマを決めて開かれますが、2018年、2019年には Startup Pavilionというスタートアップのプロダクトに焦点を当てた展示会が開催されました。
展示会以外にも、スタートアップのPRを目的とするプレゼンテーションイベントや大手企業、大学などの専門家を招いたカンファレンスなどのほか、業界団体ならではのイベントコンテンツが盛りだくさんです。
2020年11月16日から12月18日まで開催されるイベントのテーマは 「ET (Enbedded/Edge Tech)✕ 5G」となっており、スタートアップを対象とするものではなくなりましたが、テクノロジー志向のスタートアップや起業志望者にとっては、最先端の技術に触れられる貴重な機会となるでしょう。
例年パシフィコ横浜で開催されていた当イベントも、コロナ禍の拡大を受けて2020年はオンライン開催に変更されました。展示会は専用WEBサイトに企業、商品・サービスの紹介ページを設けて、動画・静止画によるPRを行う形式です。
カンファレンスも参加登録を行う形のオンライン開催となり、インテル社長やアマゾンウエブサービスジャパンのエバンジェリスト、内閣サイバーセキュリティーセンターの内閣審議官といったVIPの基調講演が行われます。
どんなスタートアップに向いているか
技術志向のプロダクトやサービスを持つスタートアップにとっては、自社をPRする絶好の機会になるでしょう。
業界団体が主催する展示会であるため、出展には数十万円という費用がかかります。大学のTLOなどに対しては、割安な料金プランも設けられています。
組み込みソフト・ハード、開発支援、AI/IoT、セキュリティ、5Gといった技術に関連する分野のスタートアップであれば、見る側として参加しても有意義なイベントといえます。
「創業手帳セミナー」
特徴・内容
創業の成功率を上げることをミッションとし、起業・創業に役立つ情報をお届けしている創業手帳も数多くのイベントを開催しています。
各界の有名・著名人による貴重な講演形式のものから、少人数で行われる勉強会まで、内容により規模も様々です。また、資金調達や組織づくりなど、あらゆる業種・業態に共通する創業ノウハウを提供しています。
企業規模の大小やステージを問わず幅広い経営者に有益な情報やを得られる場として、毎回満員御礼となっている「創業手帳セミナー」。
2020年5月からは、ほとんどのイベントをZoomを使ったオンライン形式に移行し、コロナ対策にも万全を期しています。
どんなスタートアップに向いているか
投資家を相手に資金を集めるスタートアップだけでなく、開業準備の段階、あるいは始めるビジネスが具体的になっていなくても参加できます。
特定の業種や女性の起業など対象を限定したものから、信用保証協会主催のセミナー、創業手帳オリジナルの資金調達のノウハウをゲーム形式で学ぶものまで、さまざまなイベントが企画されています。ぜひこちらからこまめにチェックすることをおすすめします。
まとめ
新型コロナウイルスの影響は甚大ですが、その中にあっても創業・起業に向けた取り組みが行われています。当事者のみならず、それをサポートする側も対策を講じながら粛々と進めています。
「ピンチはチャンス」と考えれば、この状況だからこそ社会的に意義のある新たなビジネスが生まれる可能性があるのではないでしょうか。
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(編集:創業手帳編集部)